ストーム・トルーパーRS-993 後編

 RS-993は第一デススターに分隊長として配備された。彼はすでに軍曹に昇格していた。RQ-550の傷は、反乱軍パイロットのすばやい手当てのおかげで完治していた。彼は今、RSの部下として同じ区画を担当している。RQは老パイロットについてほとんど覚えていないらしいが、RSにとっては今でも強く脳裏にその姿が残っていた。
 RSは、毎日同じ生活を送る他の仲間たちの姿に、疑問を感じるようになっていた。彼らが同じ行動を取るのは「クローンだから」かもしれないが、RSには腑に落ちない部分があった。
 このときデススターはその姿を知られてはならず、近くを通る宇宙船はトラクター・ビームで残らず捕獲されていた。その日も運の悪い一隻のクルーザーが、RSの担当するベイに格納されてきた。ストーム・トルーパーの任務はクルーザーの乗組員の身を確保することだった。
 何度もこなしてきた仕事だが、その日上官の少尉がこう言った。
「乗組員は全員殺せ」
 分隊長のRSはすぐに切り返した。「生きたまま確保するのでは?」
「乗組員は抵抗した」
「しかし……」
 RSが反論しようとすると、少尉は強い口調でさえぎった。「貴様は人間の命令に従ってればいい。すぐに宇宙船内を捜索しろ」
 少尉はその場を立ち去った。RSはRQら四人の部下を引き連れて、開かれたハッチからクルーザーに入った。

 RS-993はストーム・トルーパーから排除した方がいい。少尉は密かにそう思った。

 宇宙船の中は見たところ人影はなく、小型の清掃ドロイドが天井を這っている。ストーム・トルーパーは手分けして各部屋をあたった。RSが誰もいない部屋の扉を開けていると、別の場所から銃声が聞こえた。彼はすぐさまその部屋に向かった。
 いたのはRQ-550だった。部屋の奥には家族と思われる老若男女数名が怯えながら固まり、ある者は泣き叫んでいた。そこにはRQに発砲された一人の男が倒れていた。RSは男の脈を確認したが、すでに死んでいた。横を見ると、その子供と思しき少年が母親にしがみつき、両方とも泣いていた。ある男は知らない言語で何かを叫んでいた。
「どうして俺が来るまで待たなかった?」RSは言った。
 部屋の戸口ではRQが他のトルーパーと同じ表情で立っていた。「殺せとの命令です、軍曹。彼は銃を向けてきました」そしてRSの部下たちは乗組員に銃を向けた。
 そう言われたRSは息絶えた男の手からある物を取った。それは清掃ドロイドのコントローラーだった。
「銃ってこれか?」RSは思わず叫んでいた。「ただのコントローラーだぞ。銃じゃない!」
「殺せとの命令です、軍曹」
「それはさっき聞いた」RSはトルーパーと乗組員の間に立っていた。「銃を下ろせ、RQ。みんなもだ」
 しかしRQは自分の意志を曲げなかった。「殺せとの命令です」いや、それは彼自身の意志ではなく上官の意志である。
「殺させない。殺させないぞ。RQ、あのXウィングのパイロットを忘れたか?お前を手当てした」
「そこを退いてください、軍曹。退かなければ、あなたを撃ちます」RQはまるで機械のように言葉を並べた。
「目を覚ませ!俺たちは人間だぞ」
「我々は人間とは違う」RQはとうとうブラスターの引き金を引こうとした。
 RSはすかさず銃を向け返した。しかしもちろん彼にはRQを撃ち殺す気はなかった。
 そこに少尉が後ろで手を組んだ姿で現れた。「貴様、何をしている?」その質問はRSに向けられていた。「乗組員は全員殺せと言ったはずだが?」彼は冷ややかにそう言った。
「断る」RSはキッパリとそう言いきった。
 少尉は鼻で息を吐いた。「RQ-550、彼を射殺しろ。軍曹は命令に逆らった」
「RQ、目を覚ますんだ。俺たちは人間だ!」RSは再び銃を下ろして訴えた。
「RQ、今すぐ射殺しろ」
 RQは迷って、銃を構えたまま動けなくなっていた。苛立ちを覚えた少尉は自分のブラスターを引きぬいた。
 RSが撃たれることを覚悟したその時、銃声が鳴り響く。しかし倒れたのは少尉の方だった。RQが少尉を撃ったのである。
 ただちに他のストーム・トルーパーがRQを取り押さえにかかった。RQは抵抗し、一人を突き飛ばした。あとの二人も振り払った時、RQは撃たれてしまった。
 RSは、倒れるRQに飛びついた。「RQ!」RSはヘルメットを外し、呼吸しやすいようにRQのヘルメットも外してやった。
 RQもRSと同じ顔だった。「自分が間違ってた。すまない」彼は最後にそう言ってぐったりとしてしまった。
 RSは涙を流して友人を抱きかかえようとしたが、部下によって引き離された。彼は泣きながら床を引きずられていった。

 RS-993はストーム・トルーパーの一人。大量に生産された他のクローンと同じラインから、同じように生れてきた。しかし彼には他のトルーパーとは違った部分がある。それは人間の心である。

おわり
あとがき
 これは2004/04/18(日)、2004/04/19(月)にスター・ウォーズの鉄人!の交流版の「自作小説発表トピ」に投稿したものです。ストーム・トルーパーはクローンか?という議論がファンの間で聞こえますが、この話はストーム=クローン説を採用しています。ルーカスはクローン・トルーパーがストーム・トルーパーになったというようなことを言っていますが、クローンと一般人の混成ではないかという説もあのます。
 あとRSとRQという二人の名前が紛らわしかったのが反省点です。

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