ストーム・トルーパーRS-993 前編

 RS-993はストーム・トルーパーの一人。大量に生産された他のクローンと同じラインから、同じように生れてきた。しかし彼には他のトルーパーとは違った部分がある。
 彼が生まれ故郷で他のトルーパーとトラックで輸送されていた時に事件は起こった。少数の反乱軍戦闘機がトラックの列を攻撃したのである。一機のXウィングをリーダーとしたYウィング三機の編隊であった。RSが乗っていたすぐ後ろのトラックはYウィングの爆弾が直撃し、乗っていた殆どのストーム・トルーパーが死亡した。RSたちはすぐさまトラックを降りて拡散し、大型のブラスターライフルをセットして反撃を始めた。しかし敵の爆撃が同じトラックの仲間の一部を吹き飛ばし、大型ブラスターのほとんどが破壊されてしまう。
 気が付くと無傷のトラックは逃げ出した後で、少数のトルーパーたちだけが、たいした武器もなく抵抗を続けていた。Xウィングのレーザー放射が向かってくると、RS-993は仲間のRQ-550の手を引いて逃げ出した。道の横の草むらに入りこみ、真後ろからはレーザーが容赦なく地面を突き刺し、二人を追ってくる。
 RQが撃たれて負傷した。
 この事件は、反乱軍の奇襲が成功した数少ない例の一つとなった。しかし訓練から戻ってきたTIEファイター中隊により、Yウィング一機を除いて全て撃墜された。
 RSが負傷したRQの肩を持って草むらの中を歩いていると、さきほど撃ち落されたXウィングに遭遇した。武器はほとんど落としてきたが、小型のレーザーガンを手にしてそのコックピットに近付いた。RQは草むらの中に残していった。
 コックピットの後ろに乗っかっているアストロメイク・ドロイドが警告をするようにピーピー鳴く。コックピットが開き、パイロットが両手を上げて出てきた。
「撃たないでくれ」パイロットは言った。
 あのパイロットはストーム・トルーパーのRS-993にとって敵でしかない。しかし敵であるはずのパイロットはこう言った。
「怪我人がいるのか」
 RQが草むらから顔を出していたのだ。パイロットは武器を捨て、コックピットに救急箱があると言った。RSは彼が武器を取ったらすぐに撃ち殺すつもりで、救急箱を取るのを許した。パイロットはRQの負傷した足の手当てをした。RSは一瞬気を緩ませたが、手当てが終わってパイロットが立ち上がると再びガンを向けた。
「このまま足を曲げないでおけば、あとは帝国の病院で何とかしてくれるはずだ。」このパイロットは、よく見ると中年を過ぎた老パイロットであった。彼は成長を早められたRS-993の何倍も生きてきたのだ。
「どうして手当てをした?」RSは尋ねた。
「戦争のマナーさ。俺が若造のときはクローン大戦が始まる前だった。あのときはどの星も輝いていた――いい時代だった」老パイロットはそう語った。
 RSの知らない時代だ。さらに問いただそうとしたとき、上空をTIEファイターが通過した。次の瞬間どこからかレーザーが撃たれ、老パイロットの胸を貫通した。崩れるその体を、RSは両手で支えようとした。しかしあらぬ方向に目を向いた老パイロットはその場に倒れこんだ。  瀕死の状態でパイロットは辛うじて口を開いた。「君は人間だ。君は工業製品じゃない。この銀河に唯一無二の存在だ。君も、あの負傷兵も」彼はそう言って息絶えた。
 ストーム・トルーパーの中隊が駆け込んでくる。RS-993と同じ服を着た中間達は反乱軍のパイロットに銃を付きつけ、その遺体の肩をつかんで引きずっていく。RQ-550は担架で運ばれた。
 一人の士官がRSに近付いてきた。「第一発見者か、よくやった、RS-993。昇格できるぞ。」
 RSは引きずられる老パイロットを呆然と見つめながら、ただ頷くしかできなかった。

 その事件から数ヶ月後、RS-993は第一デススターに分隊長として配属された。
後編
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