TIEパイロットDS-360-17 第一章

 時は第二デススターと共に皇帝とヴェイダーが死亡した後の時代。帝国軍は強力になりつつある反乱軍に苦戦するようになっていた。
 タトゥイーンの遥か上空の軌道上で、帝国軍のヴィクトリー級スターデストロイヤーを中心にドックファイトが繰り広げられていた。反乱軍のXウィング中隊の襲撃に遭い、帝国軍はTIEファイター二十四機を解き放ったのだ。
 TIEファイター・ソーラー17に搭乗する彼はDS-360-17。帝国の新米パイロットだった。
『敵は戦艦の後ろに回った。ソーラー4、ソーラー20はブリッジの援護に回れ!』ソーラー・リーダーの怒鳴り声にも似た指示が連絡機から絶え間なく流れている。
『ソーラー4了解』
『こちらリーダー。ソーラー20はブリッジの援護に回れ。ソーラー20応答せよ』
『ソーラー20は死んだよ!周り中敵だらけだ!もう船に戻りたい!』気が動転したソーラー12の声だった。実際この戦いは絶望に満ちていた。TIEファイターはとても敵のXウィングには対抗できない。最初TIEとXウィングの数は二十四対十二で、帝国軍が二倍の戦闘機を出していた。しかし今となっては味方の半分が破壊され、敵は一機を破壊して一機を戦闘不能にしただけで未だに十分な戦力を持っていた。
『ソーラー12、落ち着け。お前は戦艦の下につけ。ソーラー17応答せよ』
 とうとう彼にも指示が出されるときが来た。360-17は震えた声で応答した。「こちらソーラー17」
『ソーラー17、戦艦の背後に回れ』
「そ、ソーラー17了解」
『Take it easy』
 彼はさっきからデストロイヤーの下の方で、戦闘を見ているだけに等しかったが、これで戦いに参加しなければならなくなった。360-17はTIEの向きを変えてデストロイヤーに接近した。
 戦場では敵と味方のレーザーが絶え間なく飛び交っていた。視界の中ではXウィングがTIEの後ろを付いてレーザーを撃ちまくり、デストロイヤーには魚雷が撃ちこまれた。彼はXウィングのパイロットが自分の存在に気づかないことを祈っていたが、それも虚しく一機のXウィングが彼の後ろに付いた。
「こちらソーラー17。後ろに一機いる!」
 XウィングがTIEめがけてレーザーを撃ち始めた。そのとき真正面から味方がレーザーを連射して真後ろの敵を破壊した。
 ソーラー・リーダーが助けてくれたのだ。『ソーラー17、配置につけ』
 彼に安堵している時間はなく、通信機からは仲間の悲鳴のような声が流れていた。『こちらソーラー4、後ろに付かれた!』
『ソーラー17、ソーラー4を援護しろ』
 360-17はデストロイヤーの後ろに出たが、レーザーは飛び交っているもののソーラー4の姿を捉えることができなかった。
 その間も仲間は危機に瀕していた。『くそっ、二機もいるぞ!だれか来てくれ!』
 彼はソーラー4を探すが、宇宙の暗闇の中で見つけることは困難だった。レーダーには映っているがどこにもいない。
『ソーラー17何をしている?』リーダーの声だった。
「戦闘機が見えません」
『もうだめだ。撃たれた!』
 その時タトゥイーンの砂漠の色に、TIEファイターと二機のXウィングのシルエットが浮かび上がった。「見つけたぞ」彼は歓喜して叫んだ。「こちらソーラー17、ソーラー4を確認した。援護に向かう」
『もういい、ソーラー17。ブリッジの援護に戻れ』
「今見えました。ソーラー4を助けます」
『ソーラー4はもういない!』
 その言葉を聞いた時、彼は愕然とした。今さっき見えたソーラー4はその直後に撃ち落されていたのだ。
 再びソーラー12が口を挟んだ。『いつまでこんなことをやってる気だ?俺たちを全員殺したいのか?』
『黙ってデストロイヤーを守れ』
『デストロイヤーの様子が変だ……』
 全員が凍り付く事態が発生した。デストロイヤーのエンジンに火が点いたかと思うと、ソーラー中隊を置いてハイパースペースにジャンプしてしまったのだ。
『くそったれ!』リーダーが叫ぶ。
 ソーラー12は狂ったように笑い出した『こいつは傑作だ。デストロイヤーを守れだと?デストロイヤーはもういないぜ。俺たちは見捨てられた。さあ次はどうする?』
『こちらソーラー・リーダー全機報告せよ』TIEファイターは七機にまで減っていた。
「惑星に降りましょう」360-17はこの戦場から逃げ出したかった。
『いや待て、反乱軍を片付けてからだ』
『そんなことしてどうする?俺たちはもう死ぬんだぜ。悪あがきはよせよ』次の瞬間、ソーラー12はXウィングに正面から突っ込んで撃墜された。
『よし、ソーラー中隊はこれよりタトゥイーンに降りる。全機ついて来い』

 六機のTIEファイターは砂漠の惑星に飛んだ。Xウィングはそれを撃ち落すべく追跡する。
 360-17は必死で仲間に付いていきながら、頭の中は自分のことで一杯だった。彼は運良く大気圏内まで達したが、その頃味方の三機は撃ち落された後だった。残ったのは彼とリーダーとソーラー9となった。Xウィングは一機だけ付いてきている。
『こちらソーラー9。敵は自分がやります』
『こちらリーダー。俺とソーラー17で囮になる』
 ソーラー9が編隊から離脱し、Xウィングは二機の後ろについた。TIEは砂丘地帯の地面すれすれを飛行した。360-17は早く敵を撃ち落して欲しかったが、なんの支障もなくXウィングはTIEに撃ちつづけた。
「早くしてくれ。俺たちがやられる!」
 レーザーがリーダー機に命中し、火花を散らした。『こちらリーダー。被弾した。悪いが脱出する』リーダー機は破壊された。
「早くしてくれ、俺まで落とされるぞ!」
 Xウィングはなおも撃ちつづけていた。ソーラー9は一体何をしているのだろうか。
「ソーラー9何やってる?早く!」
 レーザーが彼のTIEファイターに当たり、警報が鳴り出した。「ソーラー17脱出する」彼は脱出装置のレバーを引いた。シートごと彼の体が上のハッチから発射され、パラシュートが開く。彼のTIEファイターはレーザーの一撃により空中で爆発し、砂の大地に破片をばら撒いた。

 Xウィングは二度と戻ってこなかった。さっきまでの騒動が嘘のように、Xウィングが飛び去った後の砂漠は静けさに包まれた。彼は地面に着地する前にリーダーを探そうと思ったが、広大な砂丘にその姿はどこにもなかった。ソーラー9もどこかに消えていた。
 彼は砂漠に一人放りだされてしまったのだ。
第二章
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