青いドロイド 第六話 破壊

 彼女は浮かない気持ちで当てもなく進んでいた。気づかぬうちに外は昼になり、所々の隙間から明るい光が漏れていた。R5-W55は真っ当な店がほとんどない商店街にいた。そこでは多くの違法な商品が売り買いされている。それに彼女に鼻があれば、我慢できないほど臭いだろう。人々の足が跳ねた水溜りの水が彼女の体を汚していく。ここはショールームから想像していた外の世界ではなかった。
 彼女はそこで一体のR4ドロイドと出会った。
 こんにちは。
 R4はやさしく彼女に声をかけた。R5は返事を返した。
 話をすると、R4-76は主人に捨てられてしまったドロイドであった。R5はそんな彼女に親近感を感じた。R5も同じように自分の身の上話を話した。彼女は自分がバラバラにされそうになった時に逃げ出してきたことを話した。彼女らは二体でしばらく話しこんだ。そして友達になった。
 そして二体は明日再びここで合うことを約束し合った。明日はR4が近くを案内してくれるらしい。今日は用事があると言ってR4は去った。

 一歩商店街から外に出ると、そこは昼間なのにどんよりと暗い空間。彼女は人気もないその場所で恐ろしい脅威と出会ってしまった。
 二体のドロイド。一体は細い骨格の背の高い二足歩行型で、もう一体は小さな浮遊ドロイドだった。そして彼らの奥にいるドロイド――恐らく親分――はあらゆるヒューマノイド型ドロイドの部品の寄せ集めのようなドロイドだった。暗闇の中で大きさの違う二つの目が光った。
「貴様、このKNG-356のテリトリーと知ってのことか?」彼女よりはるかに背の高いヒューマノイド型の声は金属の頭部の内側で反響している。
 いや、私そんなつもりは……。
 R5が言うと浮遊型がネズミのような声で捲くし立てた。その言葉は早過ぎてR5にも聞き取れなかった。最後に浮遊型は笑い出した。
「キングのテリトリーに入るドロイドは全てスクラップになる」ノッポのドロイドが言った。
 三体のドロイドは彼女に近付いた。
「俺たちに勝ったら仲間にしてやろう」ヒューマノイド型は言った。「だが、今まで一人で勝ったやつはいない」
 気が付くと周囲にはドロイドの残骸がいくつも転がっていた。中には痙攣したように腕を動かしつづけているのもある。そして彼女は決して信じたくはないものを見てしまった。さっき商店街で会ったR4-76がその残骸の一部になっていたのである。その胴体と頭部はぐしゃりと凹み二度と修理は不可能となっていた。
 彼女は叫び声を上げていた。

 彼女は通路の一角に捨てられていた。ボディの至るところのパネルが剥がれ落ち、折れ曲がり、回路が途中で切断されて全く動けなくなっていた。彼女は彼らに破壊されてしまったのだ。
 彼女は絶望したまま薄暗い通路に横たわっていた。
最終話
Indexに戻る