PORSCHE TOYS


ポルシェ特集 2009/10月号
小スケールでカイエンを徹底比較


 それまでこんな車はポルシェにはなかった。ポルシェは2002年、VWと共同開発でカイエンを発表した。カイエンは2003年型として、V8エンジンのSと、V8にツインターボが付いたターボの2グレードが投入された。グレード名が付かないベーシックモデルのカイエンは翌年から登場した。カイエンには兄弟車のVWトゥアレグのV6をベースにしたエンジンが使われている。ベースグレードを後から投入するやり方は、後に登場するケイマンやパナメラにも継承された。
 「小スケールで徹底比較」シリーズの第1弾だったボクスターの回(CLICK HERE)をやってから、次はカイエンでやろうとずっと考えていた。現在は二代目に進化しているカイエンだが、ここでは初代に絞って比較していく。トゥアレグに比べて、カイエンの3インチミニカーはかなり多くのメーカーが製作している。


Siku - Porsche Cayenne Turbo

Siku - Porsche Cayenne Turbo
 カイエンの初モデル化は本元ドイツのシクが行った。リリースは2004年頃である。このモデルはシクにとっても新しい試みがいくつかある。ライトのクリアパーツ化は前から行われていたが、他にはホイールのリアル化である。それまでのシクでは、他の多くの3インチブランドと同様に、ホイールは他の車種と共通の汎用デザインだった。しかしこのカイエンでは実物を再現した専用ホイールとなり、タイヤもよりリアルなデザインのゴム製となっている。美しいシルバー塗装もそれまでのミニカーにはなかった手法だ。この塗装がこのモデルの大きな魅力でもある。光にかざして見えるボディのラインは非常に美しいが、ヘッドライトが小さすぎるために顔つきがかなりおかしい。カイエンの前にリリースされた996カブリオでも同じ傾向があったが、これ以降のモデルではそのようなことはなくなった。Vシリーズを脱したあとのシクは基本的に1/55で製作されており、特にカイエンは3インチとしては大ぶりなモデルになった。牽引フックが付いているために余計に全長が増え、トミカ用のクリアケースに入らない。また今回集めた中では唯一のドア開閉機構付きである。


Norev - Porsche Cayenne Turbo

Norev - Porsche Cayenne Turbo
 復活したノレヴの小スケールブランド、ミニジェットの最初の頃のモデルである。テールライトはただの塗りだが、クリアパーツとメッキを使ったヘッドライトの表現力は一番の出来だ。ホイールは実車のデザインだがメッキがされており、タイヤもプラスチック製なのでリアリティは損なわれている。しかしこの玩具っぽい雰囲気がノレヴの良さである。ハンドルがダッシュボードに埋まっているのもご愛嬌だ。プロポーションは文句の付けようがないほど良く、顔回りもシクよりも丸く表現されていて実車に近い。スケール的に1/60よりも大きいノレヴはシクに迫るほどの大きさがある。サンルーフと牽引フックが付いているというところまでよく似ている。ドアは開かないが、車高を調整できるという珍しいギミックが付いている。


Realtoy - Porsche Cayenne Turbo

Realtoy - Porsche Cayenne Turbo
 2005年に登場したリアルトイの新製品群の一つのカイエンは、黄色という衝撃的な色でデビューした。シクやノレヴのような一段上のブランドとは違い、リアルトイは現代風のチープミニカー代表といった感じだ。キャストや塗装の仕上がりは確かに落ちるが、プロポーションは優れており内装の出来もいい。トイザらスで99円で買うことができるのだから、値段からすれば申し分のない出来である。ただ実車の知識が若干足りないらしく、ボディカラーはありえないし、窓枠の色はシルバーではなく黒で塗られている。しかしミニカーなのだからそんなことを気にする必要はない。リアルトイの乗用車は1/58くらいが多いが、カイエンは少し小さい1/61にしてバランスを取っている。カイエンのミニカーとしては一番手に入れやすい。同時にトゥアレグもリリースされたが、こちらは無難なシルバーだった。


Matchbox - Porsche Cayenne Turbo

Matchbox - Porsche Cayenne Turbo
 今世紀に入って多くのポルシェをラインナップに入れているのがマテル社のマッチボックスだ。しかも3インチミニカーとして良作といえるモデルばかりだ。2005年リリースのカイエンもそんな良作の一つだ。近年のマッチボックスらしい堅実な作りで、塗装の質やホイールの転がり具合が、同じようなパーツ構成のリアルトイに比べて格が一つ上である。特にタンポ印刷によるヘッドライトの表現はこの中ではピカイチだ。元来から統一スケールではなく統一サイズに拘るマッチボックスでは、カイエンはかなり小さめな1/66スケールとなっている。同ブランドの他のポルシェと並べると明かに小さい。


High Speed - Porsche Cayenne Turbo

High Speed - Porsche Cayenne Turbo
 1/64スケールで最初にカイエンを作ったのは、スケールミニカーのメーカーとしてはとしてはまだ経験の浅いハイスピードだった。これも2005年ごろに発売された。この頃の1/64ミニカーは、ライトはプリントで、タイヤはプラスチックというのが当たり前だった。このカイエンもそんな一台だが、私はこの作風がとても気に入っている。プロポーションは申し分なく、色も高級感のある黒なのがいい。ただ塗装面に明らかにザラザラな部分があるのは技術の未熟さゆえだろうか。ハイスピードはOEM供給することが多く、全く同じモデルがシュコーとして発売された。後々にはマリブ、そしてグリーンライトの名義で色違いがリリースされた。同じく黒でトゥアレグも同時期にリリースされた。


Maisto - Porsche Cayenne Turbo

Maisto - Porsche Cayenne Turbo
 最近は1/64と謳っておきながらかなり大きめなサイズでカスタムカーをミニチュア化するシリーズが多くなった。このカイエンが属しているマイストのプレイヤーズもそういった流れのシリーズとして2006年に登場した。このようなミニカーの特徴は、大径のメッキホイールを装着していることだ。ときには現実にはありえないほど巨大なものもある。VWではこのようなミニカーは多いが、ポルシェとなると途端に少なくなってしまう。そうした意味でマイストのカイエンは貴重な存在だが、できれば3インチのレギュラーシリーズ(トゥアレグは出ている)でも出して欲しかった。ボディを見てみると、案外フォルムは狂っていない。ホイールサイズも、実車でのクレイジーなカスタムを見れば常識の範囲内といえる。似たようなカスタムとしてノレヴ版カイエン(ノレヴ特集参照)があり、この手のものが好きなら押さえておきたい。


Kyosho - Porsche Cayenne Turbo

Kyosho - Porsche Cayenne Turbo
 京商の1/64シリーズでは、2006年のポルシェ・コレクション2で登場した。京商ポルシェ2は、現在まで出ているポルコレ1〜3の中でも特に出来が良く、カイエンがそのラインナップの中には入れたのは幸運であった。ブラインドボックスという特殊な販売形態(日本では普通だが)を取っているとはいえ、これが一台400円で提供されているのはお買い得だった。前後ライトがクリアパーツでタイヤもゴム製、もちろんボディフォルムも整っていて、まるでお手本のようなミニカーだ。カラーバリエーションに黒がないのが残念なところだが、この金色も個性的でインパクトがある。兄弟のトゥアレグは2008年にVWコレクションとしてリリースされている。


loyalbright - Porsche Cayenne

Loyal Bright (City Runner) - Porsche Cayenne / S
 まずこのモデルのメーカーとしてここではロイヤルブライトとしてあるが、これはまだ不確定な事項である。このモデルが最初に確認されたのはエドカーブランドとしてだった。私が存在を知ったのは2007年にエドカーが倒産したあとのことだったのだが、非常に衝撃的だった。このモデルは3インチでは唯一の自然吸気モデル、カイエン(またはカイエンS)である。しかも前後のエプロンとサイドシルが黒であることから、2004年型までの初期モデルであることが分かる。2005年型からはターボと同様にボディ同色となる。小さめのエアインテークと、突起のないボンネットがターボとの違いだ。トリプル5スポークのホイールも、上で紹介したターボのものとはデザインが異なる。これはホンウェルのカイエンSと同じタイプのホイールだ。さてこのモデルはエドカー倒産後にシティランナーという名前で販売されたもので、エドカー版にはないポルシェマークが付いている。しかしマークはボンネットではなくバンパー側に付くはずなので、位置が間違っている。実際のメーカーが謎であったが、ワイキキ氏がロイヤルブライトのサイト(URL)を発見し、どうやらそこが製造元であるらしいことが分かった。一応ライトはクリアパーツで、1/64のクオリティを出そうとしているが、形が妙に角張っているのと組み付けが悪いせいでチープな印象を受ける。しかし今のところは希少車であり、あまり流通していないので貴重なモデルである。


welly - Porsche Cayenne

Welly - Porsche Cayenne Turbo
 ウェリーのカイエンはまだ公式サイトでの掲載があったのみで、今のところリリースされていないと思われる。カイエンの品番は82224とされており、同時に予告されていた997カブリオ(82274)は今年の初めには流通し始めている。結局このカイエンは発売されないまま、サイトリニューアルの際に公式から姿を消してしまった。品番82224には現在ケイマンSが割り当てられており、かなり生産版に近いと思われるモデルが掲載されている。こちらは近いうちに現物を見ることができそうだ。そしてカイエンの方はお蔵入りになるのだろう。この画像は公式サイトに載せられていたものだが、ウェリーの3インチのクオリティを遥かに凌ぐモデルになっている。カイエン・ターボは他のスケールではリリースされており、この画像は1/18か1/24の画像を流用したものと思われる。トゥアレグが最近3インチでリリースされてただけに、カイエンがお蔵入りになるのは惜しい。


Size comparison of Porsche Cayenne Turbo

 サイズを比較してみると、やっぱり一番大きいのはシクだ。ノレヴもかなりそれに近い大きさがある。マイストとリアルトイはそれらより一回り小さい。1/64の京商とハイスピードは当然ほぼ同じサイズで、ロイヤルブライトは微妙に短い。マッチボックスはかなり小さい。
 カイエンも非常に多くのメーカーからリリースされている印象を受けるが、今回集められたのはボクスターの回よりも少なかった。その代わり1/72スケールでは、主たるメーカー四社(ホンウェル、ヤトミン、リアルX、ジョイシティ)からカイエンがリリースされている。
 今回はどれも微妙に方向性が異なっていて魅力的なモデルが多かった。ボクスターよりも総じてレベルが高いと言える。

Minichamps Porsche Cayenne S &GTS

Minichamps - Porsche Cayenne S & GTS
 カイエンは2007年型から二代目に進化し、目つきの鋭いドラえもんのような顔つきになった。ニューフェイスになってからはSとターボの間を埋めるGTSが新たに追加された。ターボと同じバンパーを持つV8自然吸気モデルだ。新しいカイエンは今年から1/64に再参入したミニチャンプスからSとGTSがリリースされた。大きなマイナーチェンジに過ぎない二代目であるため、多くのミニカー化は希望薄だが、ベースグレードやターボのモデル化も期待したい。

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