PORSCHE TOYS


ポルシェ特集 2008/7月号
アンノウンの不思議な生態(ポルシェ928)


タイトル

 アンノウン(Unknown)というのはメーカーが不明なミニカーのことである。今までかなり多くのミニカーを分類してきたものの、まだ僕のコレクションには大きな氷山が残っている。中国製ということくらいしか情報のないこの928の一群は、今もって未分類のままになっている。ありふれたチープトイのように見えるが、リサイクルショップでいつも目を光らせていても、なかなか発見することが出来なかったりする。この中で自力で発見したのは3台しかなく、残りはアメリカのコレクターから手に入れたものだ。ミニカーコレクターの中でも興味を持つ者は限られてくると思うが、追究していくとなかなか面白い。


形態1
 これらの928の中で元祖と思われるモデル。これ以降のものと比べて車体に厚みがあり、サンルーフが開いていない。窓はこの手のミニカーにはありがちなクリアブルーの素材が使われている。僕が持っていないだけで、もっと初期のキャストラインの綺麗なモデルもあるかもしれない。
サンプル1
 このシリーズと最初に出会ったのがこの一台。どう考えても大型ギフトセットの一台だが、他のカラバリは発見できなかった。海外のサイトを見ると他にもカラバリがたくさんあるようだ。どの色でも基本的にこのACTIONという文字が入ったタンポが使われている。
 裏面は至ってシンプルで、MADE IN CHINAという刻印が入るのみ。
Unknown Porsche 928
FAST WHEELS 50 CARS(08/08/12追加)
 海外のサイトで2003年に拾ったセット品の画像。中には9台の928(それに加えてフラットノーズもある)が含まれている。手前の黄色がサンプル1とほぼ同仕様だが、ホイールがメッキされている。一台の迷彩カラーを除いて残りは全部ACTIONタンポになっている。箱の端に会社名と思しきEXCITEのロゴがある。
Fast Wheels Fast Wheels

形態2
 これが形態1と直接つながるのかどうかはよく分からないが、ACTIONタンポが使われていることから正常進化版の可能性がある。この場合進化というより退化に近いかもしれない。キャストラインは綺麗になったが、ボディが押し潰されたように薄くなり、チープ感が増した。恐らくボディに使う金属を節約する為と思われ、サンルーフが開いたのもそれが理由だろう。しかし一方でリアウィンドウが狭められている。窓は不透明な黒。形態1と同形状のホイール。シャーシには配管などの複雑な成型がされている。
サンプル1
 形態1と同様のACTIONタンポ。ライトと屋根部分の印刷は省略されている。シャーシの中央の辺りにMADE IN CHINAと刻印される。
Unknown Porsche 928
サンプル2
 サンプル1の色違い。しかしシャーシに微妙な違いが見られる。まずフロント部分が顎を突き出したように、ボディより飛び出している。ドアのラインもボディとシャーシ部分ではずれている。裏を見るとMADE IN CHINAの刻印が手前側にある。
Unknown Porsche 928
サンプル3
 タンポのACTIONという文字の部分が省略されたもの。とうとうタンポ印刷すら勿体無くなって削減されたのだろうか。単なるエラーということも考えられる。それ以外の細かい特徴はサンプル2と一致する。
Unknown Porsche 928
サンプル4
 完全にタンポがなくなった。これもタンポ以外はサンプル2と一致する。一連の赤いモデルは全てアメリカから送られてきたモデルだが、恐らく同じ時期の同じラインで作られたのだろう。
Unknown Porsche 928
サンプル5(08/08/12追加)
 サンプル5とサンプル6はnao氏から譲ってもらった。MADE IN CHINAの位置とタンポが水色であるという点で、サンプル1とほぼ同じ物といえる。
Unknown Porsche 928
サンプル6(08/08/12追加)
 これも緑のものと仕様はだいたい同じだが、MADE IN CHINAが二行に分けて刻印されているのが違うポイント。
Unknown Porsche 928

形態3
 基本的な形は形態2と同様だが、大きな違いはシャーシ面がフラットであるということ。さらに窓はクリアブルーとなっており、それらの点ではより形態1に近い。しかし手持ちの中ではACTIONタンポのものは見られず、正当な後継なのかどうか謎である。
サンプル1
 シルバーのボディに黒い炎がプリントされたもの。一色のみのタンポ、メタリックカラーであることなど、色合いのセンスが他のモデルとは違うような気がする。また形態3のサンプルとしては唯一MADE IN CHINAの刻印がシャーシにある。
Unknown Porsche 928
サンプル2
 丸いコインのようなマークが二つプリントされているが、よく見るとFIRE DEPARTMENTと書かれている。裏面には何も刻印がなくまっさらな状態。サンプル1とサンプル2は自力で見つけた数少ないモデルだ。
Unknown Porsche 928
サンプル3
 これも消防関係の車両らしい。緊急車両のセットに入っていたものだろうか。
Unknown Porsche 928
サンプル4
 タンポなしモデル。シャーシの車軸受け部分の形を観察すると、サンプル2とほぼ同じモデルであることが分かる。こういうチープミニカーで子供の目を引く模様が入っていないのは珍しい。このようなプレーンなモデルはアフリカや南米など後進国向けには多いらしい。作っている方もちゃんと客を選別しているのだ。
Unknown Porsche 928
サンプル5(08/08/12追加)
 これはネットで拾ったもの。形態3のようだが、ACTIONタンポになっている。ライト部分までタンポがあることから、時系列的には形態1→形態3→形態2の順番になるようだ。
Unknown Porsche 928

形態4
 クリアブルーの窓にフラットなシャーシと、形態3に近いが、後ろの窓が形態1と同等の広さがある。またカラーリングセンスがこれまでのモデルとは少し違った味気ないものになっている。
サンプル1
 シルバーにピンクがかった赤い炎がシュールなモデル。他のものとは違い、ホイールが角張ったものになっている。
Unknown Porsche 928
サンプル2
 塗料が少なくて表面がまだら模様になってしまった白いモデル。こちらのホイールは形態1〜3と同様な丸みのあるホイールを使っている。ボディの欠けや歪みなどから製品としてのレベルは低い。
Unknown Porsche 928

形態5
 リアウィンドウが狭く、窓は黒なので形態2に近い。大きな特徴はホイールが違うことだ。6スポークの今までのミニカーでは見られなかったデザインが使われている。月と鳥のタンポが特徴的。
サンプル1
 他のモデルでは中国産によく見られる8ドット・ホイールは使われているが、これには6スポークが使われている。これは他ものとは製造者が違うのではないかと思わされる。
Unknown Porsche 928


 中国メーカーの金型の管理はかなり適当な節があり、劣化と度重なる改修によって形が変化してしまうことはよくある。さらには金型の紛失ということもしばしば起こる。この928の様々な形態変化はそのような中国の気質が産み出したものである。これらの形態変化は製造時期の違いに加え、製造者の違いも絡んでいるような気がする。複数の金型がそれぞれ別の場所を渡り歩いているのかもしれない。
 現時点ではだいたい5種類の形態を見つけたが、これからまた新種を見つける可能性もある。コレクションの道は果てしなく長いのである。


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