マテルの2大ミニカー・ブランドのリリースラッシュは未だに勢い衰える気配がない。ホットウィールもマッチボックスも以前のマンネリを打破することに成功し、魅力的なモデルを毎年発表している。事実上マテルはミニカーの帝王といえるのではないだろうか。最近ではマッチボックスの997GT3が傑作だったが、今回はHWの話。

Final Run
1999年にファイナル・ランというシリーズが始まった。絶版になるモデルが立つ最後のステージという趣向で、FRに入ったモデルは二度とリリースされることはない。他にはあまり例のないシリーズだ。比較的地味な車種が選ばれていたが、その中には3台のポルシェも含まれており、一気に長寿キャストが失われた。2001年に911、2002年に928、そして2003年には911カレラが絶版となった。2台の911はどちらも長年の金型劣化により醜い姿になってきていたが、928の絶版は非常に惜しい。さらにフラットノーズの930ターボが2001年、959が2003年のトレジャー・ハント以来今までリリースされていない。事実上の絶版になるかもしれないが、HWの場合古いモデルがボッとリリースされることもあるのでまだ分からない。コーギーの911カレラ以外はラリー・ウッドが手がけたモデルであり、どこかアメリカを感じさせる80年代、90年代の定番モデルだった。それまでは毎年何台ものポルシェがラインナップに入っていたが、それからはレギュラーにポルシェがないという状態となった。
FRは2003年を最後に今は終了している。このシリーズは、HWが古い皮を脱ぎ捨てて飛び立つための悪あがきだったのかもしれない。

Porsche Carrera GT
デザインセンスが完全に90年代から脱却し、一時はデフォルメカーばかりになったHWも00年代半ばには再び賞賛を浴びるようなニューモデルを作るようになった。2006年FEのカレラGTは、HWの新しいアプローチの仕方をよく表している。他にも数社がカレラGTをモデル化しているが、ここまで美しくグラマラスなモデルはない。リアホイールの方が大きいという、いつものホットロッド流デフォルメがこのモデルでは見事にヒットしている。クリアパーツの裏にプリントされたネット模様が秀逸。数年間HWから離れていた僕も、これを機に興味が復活した。
2006年はFTEという抵抗の少ない高速ホイールが使われた年で、カレラGTにも通常のOH5SPホイールとFTEホイールの2種類がリリースされた。どちらもデザインは同じだが、FTEは銅色なので区別できる。シルバーのモデルから少し遅れて黄色も登場。黄色も2006FEの一つだが、こちらにFTE版はなかった。日本語ショートカードになったので、シルバーより買いやすかった。2007年にはExoticという5パックにオレンジ、2008年には同名シリーズに単品の黒が登場。


Porsche Cayman S
連続して2007年にもポルシェのニューキャストが登場した。3インチで初となったケイマンはカレラGTのスケールに合わせた小振りなモデルで、リア回りの美しいラインが見事に再現されている。コース走行での安定性を考えてのことからか、HWはフロントのホイールが左右に張り出していることが多く、これもその一つ。しかしこのケイマンが素晴らしいモデルであることには変わりない。カレラGTでは省略されていたフロント・エアインテークの塗りも、ケイマンでは施されていて引き締まった顔になった。
最初に出たFEカラーはシルバーで、その後黄色、オレンジと順番に色違いが登場した。全て2007年FEモデルで、内装の色もボディカラーに合わせて変えられている。最もみんなが欲しがるであろうシルバーは日本語ショートカードになり、非常に買いやすかった。シルバーが大量供給されたお陰で他の色違いは少量ながら売れ残っていたりして、僕としては助かった。

1/87
2007年は1/87のシリーズが登場。レギュラー品をスケールダウンしたもので、過去にも同じようなミニシリーズはあった。ポルシェはケイマンがFEと同じカラーで1/87化された。クリアケース付きで普通のHWとは趣向が少し違う。対象年齢が8+になっていることからも、通常の製品とは狙いが違うことが分かる。日本でも売られたようだが、アメリカからの荷物にたまたま入っていて入手。ポルシェ・ケイマンと書かれているが、ミニカーの方には車名バッジにSが付いている。

日本語ショートカード
ラインナップ自体の改善に加え、日本語版ショートカードの存在もコレクターに大きな恩恵を与えた。全ラインナップが日本語カードだった1999-2000年以来、正規輸入版は欧米マルチ言語カード(日本語シール付き)になっていたが、2006年に日本語カードが復活した。ラインナップの中からいくつかのモデルをピックアップして、それまでのレギュラーカードとは別の体系を作り出したもの。通常のレギュラーとは違い、一車種が一つのラックにずらりと並ぶようになり、まるでトミカのように買えるようになった。ラインナップの多くは実車モデルのスポーツカーやマッスルカーなど日本人好みの品揃えで、数年前では争奪戦になっていたであろう人気モデルも手に入りやすくなったことは大歓迎である。画像は2006年のポルシェ・カレラGT。
2 Pack
日本でのリリースは少し遅れるが、本国では翌年のモデルも結構早くから出回りだす。黒のカレラGTは2008年モデルだが、2007年のうちにアメリカからこの2台セットを送ってもらった。日本にはないが、向こうでは前からこういう2パックがあるらしい。あからさまな不人気車種との組み合わせだが、こういう架空車も需要を見込んで作っているのだろうか。
HWといえば、VWの方の新作も結構出ている。2004年にタイプ2ピックアップ、2006年にはカルマンギア、2007年に最新のゴルフGTI、そして今年にはタイプ3ファストバックが登場する予定である。2006年には人気のビートルをカブリオにしたものも出た。と言っても全てドラッグレーサーなどの改造車仕様となっている。HWが出すからには当然といえるが、もう少し控えめなカスタムでも良かろうと思うような派手なデザインが多い。ちなみにこの中ではゴルフGTIとコンバチビートルしか買っていない。
今年のニューキャストにポルシェは含まれていないが、今後に期待したいところ。去年は久しぶりにGT3とGT1の色違いが出たことだし、HWのレギュラーカードにポルシェが入っているというのはいいものだ。実を言うと僕のコレクション・サイト(URL)の方で掲載台数が一番多いのがHWとマッチボックスである。マッチボックスはレズニー時代のモデルからカウントしているものの、マテル以降のモデルがかなりのウェイトを占めている。チープミニカーばかり集めてきたような気がしていたが、メーカー別に分類するとその辺はやっぱりマイノリティだったりする。サマーだけは多いけど。
2大ブランドから出るこれからの新作に期待。
