![]() |
信沢 保の PORSCHE 特集 のページ |
前回のトミカ特集で、メーカー別の特集はほとんど終わったことになった。もうネタもあんまりないかな〜と思ったが、これからはもっと細かいことをネタに小スケールの世界を開拓していくことにした。というわけでこれからも特集は続く。
折角トミカを扱ったので――と言うわけでもないが、今回はトミカとウェリーの比較をしていく。もちろんウェリーは今現在箱入りで出回っている新しいものではなく、8ドットホイールなどが使われている古いキャストの方(オールド・ウェリーと呼ぶ)である。この手の3インチミニカーを集める者なら、ウェリーにはトミカと似ているキャストが非常に多いということに気が付くはず。トミカ・コピーのある中国系ブランドは多いが、ウェリーはラインナップに占める割合がやたら大きい。よく見ると意外とクオリティも高く、日本での流通量も結構あるのでトミカ・コピーの代表格と言ってもいいくらいだ。しかしウェリーは本当に猿真似しかできない無能メーカーだったのか?



そっくりさん……?
オールド・ウェリーでポルシェは5種類出ているが、上の3種は明らかにトミカをベースに金型を作っている。パーツ構成や細かい部分の造形に違いはあるが、コピー物の中でもウェリーは真似のレベルが高い。特に開閉ドアまで付いている928の再現性はすごい。同じ車を作って形が似てしまうのは当然かもしれないが、シャーシや内装までじっくり見てみるとやっぱり「トミカ」が見えてくる。なのでトミカ・コピーと見て間違いないだろう。

問題となるのはこの935/76である。ウェリー版を持っている人は「これもトミカコピーか?」と思うかもしれないが、トミカにこのタイプの935/76は存在しない。あるのは911型のノーズを持ったタイプの935/76である(緑の方)。ならばこの二つに関連性は全くない……?
違うようで似ているようで違う
上の画像でだいたい分かるが、この2台は大きさが全く同じ。しかもフロント部分は大きく異なるが、そこから後ろの部分の造形はよく似ている。どちらもドアは開閉式であり、リアウィングは別パーツとなっている。部品の形もほぼ一致している。
しかしちょっと違うところもある。ドアを見ると、両者はドアノブの形が異なり、ウェリーにはサイドミラーが付いている。トミカが無駄な突起物を極力避けるために省略した部分を、ウェリーがやり直したという形だろうか。リアウィングはトミカはプラ製で、ウェリーはダイキャスト・メタル製。ウェリーの方が出来がいいような気がしてきた。よく見ると、リアクォーター・ウィンドウの窓枠の処理も違っている。
シャーシも違うけど似てる
トミカはシャーシの後ろをボディに引っ掛けているため、カシメは1個。ウェリーは普通にカシメ2個で留めている。トミカは板バネが中に入っているものの、ウェリーはシャーシによるベロバネ。チープミニカーでよくあるタイプである。やっぱりウェリーはこの辺りが安っぽさにつながっている。
シャーシのモールドを見てみると、やっぱり似ている。こんなところの造形が同じになるなんてありえない。
内装の共通点
決定的なのは内装。ドアを開けて中を観察してみる。トミカならまだしもウェリーのドアを開けるのは恐かったが、勇気を持って覗いてみた。全く同じではないが、ハンドルやシートの形などに共通点がある。さらにトミカで助手席側の床に付いている突起物が、ウェリーにも半分残っている。
トミカ・”コピー”ではない
コピーというとトミカを粘土に埋めて型を取るような「複製作業」を連想するが、これはそんなに単純なものではない。確かにトミカをベースとして作られているようだが、ウェリーはフラットノーズにして別の仕様に作り変えた。シャーシ番号でいうと935-001を935-002に作り変えたのだ。これは驚くべきことであり、車種のバラエティを増やしてくれたことはコレクターとして有り難いことである。しかもサイズが同じだからトミカと並べても違和感なしというのが案外嬉しい。これはただのコピーではなく、ウェリーのオリジナリティー溢れる作品だった。


ウェリー・オリジナルは他にも
ウェリーはただのコピー・メーカーではなかったということがこれで明らかになった。オールド・ウェリーは僕たちと同じ車好きによる作品だったのだろう。しかもそのオリジナリティが表れているモデルは他にもある。それは画像のゴルフである。これもシャーシや内装から見てトミカを元に作られているらしいことが分かるが、初代から二代目へという決して小さからぬ変更が行われている。シャーシの表記によればトミカはゴルフGLE、ウェリーはゴルフGTIということになっている。ただのコピー物と侮っていた人も、これを知ったら少しはリスペクトするかもしれない。
ところでオールド・ウェリーはシャーシを見てもメーカー名は記されていないことが多い。もし8ドット・ホイールでシャーシにマーク付きのものがあったとしても、それは古い金型で最近に作られた物であることがほとんど(930ターボにはマーク付きをいくつか発見した)。それ故にウェリーモデルを所有していながら正体を知らない人は多い。そんな自己主張の控えめなところも、昔のウェリーの良さに思えてくるからマニア心は不思議だ。
