PORSCHE
信沢 保の
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特集では、メインのページだけでは紹介しきれないことを、解説していきます。


2007/10月号
我らがトミカ特集 Part1


 今月の特集は、日本人なら誰もが知っているトミカ。欧米で言うマッチボックスやホットウィールのような、小スケールミニカーの代表格である。自動車自体の文化や技術がヨーロッパの後追いだった日本のこのブランドは、やはりヨーロッパの有名ブランドたちよりも遅い1970年に生まれた。ラインナップ数は決められており、新車種の登場と入れ替えで古いモデルが廃盤になっていく方式はマッチボックスを参考にしたものと思われる。最初は国産車(黒箱)のみのラインナップだったが、1976年から外国車シリーズ(青箱)がスタートし、ポルシェの名作もたくさん作り出された。1984年に国産車が現在の赤箱になり、1988年に外国車が吸収されて赤箱120台体制ができあがった。
 それから20年近く経った現在でもトミカの基本スタンスは変わらない。青箱の廃止は外車の割合を縮小するということであり、新車投入による外車の駆逐は90年代にかなり進んだ。今世紀に入ると、国産車の中に外車が数台見られるという割合で安定するようになった。ポルシェも青箱時代にリリースされたものがほとんどで、赤箱時代に登場したのは959とボクスターしかない。国産車中心のラインナップになったのは原点回帰というべきか、欧米や中国メーカーによる外車ミニカーがたくさん手に入る現在では正しい選択だったのかもしれない。
 パート1ではトミカのポルシェの中でもポピュラーでバリエーションの多い3台、911S、930ターボ、356Aスピードスターを紹介する。


911S
F3
1976
 トミカに外車シリーズが初めてできた時の新車種の一つがポルシェ911だった。911は衝撃吸収バンパーを付けながらも、ナローの色合いを強く残していた時代。この頃はナローから続く911Sという車種がまだ現行モデルであり、トミカはそれをモデル化した。しかし青箱の箱絵は911カレラを元に書かれたようだ。最初は車種が少ないためか、通常モデルの他にパトカー仕様とレース仕様が別品番で同時に登場した。以下トミカ・リミテッド以外は日本製。
Tomica Porsche 911S
Tomica Porsche 911S
Tomica Porsche 911S
911S - No.F3

 金色に輝くメッキのモデルは通常品。分類上は金ではなく銅色ということになっている。昔のトミカは予告なく色違いが登場し、同時期に複数色が在庫されていることが多かった。特に911Sは色違いが多い。
911S - No.F3

 シルバー・メッキのモデルは金色よりも少し後のバリ。メッキだと特別なモデルみたいだが、昔は普通に売っていたらしい。金色と共にトレードで入手。お気に入り。
911S - No.F3

 最初の頃はタンポなどの付かないものが多い。ノータンポの赤ボディ、黒シートのモデルは確かにF3番に存在するもの。レース版のシールを剥がしても同じ物になるが、シール跡がないのでF3で合っているのだろう。
Tomica Porsche 911S
Tomica Porsche 911S
Tomica Porsche 911S
911S - No.F3

 青箱に入って売られた中でも黄色に赤ストライプは最後の頃ではないだろうか。同時期に黒ストライプ版も出ている。ずっとF3の番号を守ってきたが、外車シリーズが統合されると911Sは通常品から姿を消した。
911S - No.F3

 2004年に出たトミカ・リミテッドのポルシェ4台セットからのもの。通常品はF品番で終わったので、これもF3番として分類するしかない。リアの911Sという文字のモールドがなくなるなど、金型が変更された。
911S - No.F3

 ゴム類の黒を塗ることで、通常品にはない当時のポルシェの雰囲気が出ている。緑といい、この白といい色のチョイスが良い。
Tomica Porsche 911S Police
Tomica Porsche 911S Police
911S Police - No.F16

 通常モデルのF3と同時登場のパトカー仕様。箱絵と同じPolizei仕様が最初のバリ。僕がかなり小さい頃に同じ物を与えられて、傷だらけになるまで遊んだ。画像は父が秘蔵していたのを数年前に貰ったもの。
911S Police - No.F16

 朱色のラインはオランダの警察仕様。箱絵は変わらなくても色々な仕様のパトカーが売られていた。箱付き1000円で買ってもらった。危ない年頃(小学生なので)だったが、ミントで今まで残せて良かった。
Tomica Porsche 911S Police
Tomica Porsche 911S Police
911S Police - No.F16

 実際に配備されたという911の日本警察仕様も登場した。最初はデパート特注品(神奈川県警)だったが、後になって通常品(新潟県警)でも登場した。それぞれカラーリングが異なる。これは通常品。
911S Police - No.F16

 物心付いた時から既に持っていたポルシェの一つがこれ。ボロくて好きじゃなかったので、今になって見ると剥げが少ない。黄色窓は1983年のパトカーフェアという通常品とは別のシリーズ物。
Tomica Porsche 911S Racing
Tomica Porsche 911S Racing
Tomica Porsche 911S Racing
911S Racing - No.F17

 カギ十字付きのこれはサーキットの狼セットからの一台。1976年のセットなので、かなり初期のバリだが、なぜかレーシングとして分類されている。昔この状態で50円で買った。
911S Racing - No.F17

 F17というとこのシールが貼られたものが多い。初登場が箱絵と同じ赤だが、黒内装は後の方のバリ。セット物に黄色があった他、通常品はずっと赤だった。
911S Racing - No.F17

 その後シールと色が変更されてこの緑のタイプになった。バンパーなどに色が付いているのは2次加工によるもの。これが最後のバリで、F17は1979年にシトロエンHトラックになった。

930 Turbo
F1
1979
 当時の日本メーカーがこれをリリースするのは当然の流れであった。むしろ遅かったくらいだ。当時はすでに二代目のターボ3.3に進化していたが、トミカがリリースしたのは当然初代のターボ3.0だった。この時はまだ実車の名称が911ターボに改められる前だった。与えられた品番はモーターホームから引き継いだF1番。911Sとは違い、バンパーのゴム部分などに色が付けられている。プロポーションに多少の難点はあるが、これもトミカの名作の一つといえる。トミカがなければ中国系メーカーで930が大量出現することはなかっただろう。
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
930 Turbo - No.F1

 最初のカラーはこのシルバー。箱絵だと白っぽく見える。小さい頃に七夕フリマでジャンク状態のこれを買ってもらった。メタリック・オレンジやパール白などの色違いも間もなく出たが、数量的にそれら後発のバリの方が珍しい。
930 Turbo - No.F1

 オレンジに白内装は乗用車セットのもので、F1番として分類される最後のバリ。セット物としては他に黄色(黒内装)と赤(白内装)もあった。
930 Turbo - No.81

 通常品が赤になったのはまだF1番の頃。そのまま赤箱81番に移行し、2002年を最後に絶版になるまでそのまま色が変更されることはなかった。当然これが最も多く見かけるバリとなった。赤箱の途中で日本製から中国製に切り替わっている。
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
930 Turbo - No.81

 海外輸出向けのバージョン。ヨーロッパ向けのよう。F1番の時の輸出仕様は緑色だった。大きなポルシェマークで雰囲気が国内版とは異なる。細部の黒塗装がないのも大きく印象を変えている。
930 Turbo - No.81

 1999年頃の湾岸ミッドナイト・セットの一台。元の漫画では964ターボのようだが、コミックトミカのシリーズでは細かいことは気にしない。6台セットだがこれの為に新品を買った。
930 Turbo - No.81

 その次に出たコミックトミカがサーキットの狼セットで、今度は赤の930が含まれていた。これらの登場でワイドホイール付きの930が手に入れやすくなった。セットの中身はキーチェーン付きとしても単品で売られていた。
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
930 Turbo - No.81

 狼の後キーチェーントミカというシリーズが始まった。第一弾には黄色の930が含まれていた。これはF1番初期のセット物とほぼ同じ仕様。画像は外してあるが、リアウィングにキーチェーンが付く。
930 Turbo - No.81

 キーチェーン第二弾にも930がラインナップに入った。12車種しかないのに、なぜか前回と被っている車種が多い。新しいバリが出るのは嬉しいが、色が微妙。
Tomica Porsche 930 Turbo
Tomica Porsche 930 Turbo
930 Turbo - No.81 (No.0046)

 930のリミテッド版は2004年に単品で登場した。最初に出たものはメタリックのキメが荒かったが、すぐに改善された。専用のホイールを付けて、細かい塗り分けをするとそれなりに見える。雑誌付属の赤もある。
930 Turbo - No.81 (No.M-13)

 トミカミュージアムというシリーズ物で、これも2004年のリリース。F1番のシルバーを思い起こすが、エンブレムを付けることで差別化されている。リミテッド化した影響でホイールが変わった。

356A Speedster
F9
1983
 今では普通になったが、旧車をリリースするというのは、当時はまだそれほど一般的なことではなかった。356はF9番の三代目、シェビー・バン・シェリフの後の引き継ぐ形で登場した。1/59というスケールでもまだ小振りなこのモデルは、少ない356ミニカーの中でも最も優れていると言っていい。赤箱に移行してからも930と共にしばらくカタログに残っていた。
Tomica Porsche 356A Speedster
Tomica Porsche 356A Speedster
356A Speedster - No.F9

 なぜかワイドホイールでの登場となった。最初の登場はイメージカラーの赤。色違いが多く存在する356だが、通常品には赤しかない。輸出仕様でも赤ばかりだったようだ。
356A Speedster - No.89

 後に細いホイールに改められ、合わせてシャーシのトレッド幅が広げられた。356にはこの華奢なホイールの方が似合っている。そのまま赤箱に移行して1999年に絶版となった。通常品には日本製しかないと思われる。
Tomica Porsche 356A Speedster
Tomica Porsche 356A Speedster
Tomica Porsche 356A Speedster
356A Speedster - No.89

 数ある特注品の中でも名作なのがイケダ特注のレース仕様3種。幌部分のパーツを差し替えて、専用のロールバーが付けられている。これで定価800円で売ったのだからイケダはすごい。普通特注品というと4桁台が多い。
356A Speedster - No.89

 ソリッドカラーのオレンジもなかなか良い。中身が違っても箱は全て共通だった。箱絵は左のシルバーと同じで、売り上げも一番人気があったようだ。
356A Speedster - No.89

 渋い青灰色。ホイールは通常のメッキではなく、くすんだシルバーというのも雰囲気があっていい。オレンジと青はイケダで売れ残り価格350円だったのを買った。全色揃えられたのは運が良かった。
Tomica Porsche 356A Speedster
Tomica Porsche 356A Speedster
Tomica Porsche 356A Speedster
356A Speedster - No.89 (No.5)

 2001年に出たスペシャルモデルというシリーズは、イベント会場で売られているもの。唯一の外車が356だった。トミー自身が色違いを出してくれるのは嬉しい。定価500円のもの。これは貰った。
356A Speedster - No.89

 2004年のリミテッド・ポルシェ4台セットのもの。専用ホイールが効いているが、911に比べると通常品とのギャップは少ない。赤色は通常品よりも明るい色。もう少しトーンを落としても良かったのではないかと思う。
356A Speedster - No.89

 赤ともう一つがこの黒。無難ながら色の選択は外していない。トイザらスで買えばセット2000円程度なので、一個あたり500円で買えた。お買い得なので3セット買った。

 トミカといえばトミカサイズという言葉があるように、日本では小スケールミニカーの頂点に君臨している存在である。トミカを専門にしたコレクターも数多くいる。それゆえに非常に開発の進んだジャンルでもある。今回自分のコレクションを年代順に並べるために本やネットを調べていてそれがしみじみと分かった。いつのどんなモデルを入手したとしても、調べて年代順に並べることができるだろう。
 次回は残りのポルシェを全部紹介。

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