PORSCHE
信沢 保の
PORSCHE 特集
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特集では、メインのページだけでは紹介しきれないことを、解説していきます。


2007/01月号
小スケールのビートルの年式を全て暴くパート2

 こんなに年式特定の難しい車が他にあるだろうかと思ってしまった。ポルシェの方が大分分かりがいい気がする。ヘッドライトの6Vから12Vへの変更など実車では最も大きな変化だが、ミニカーになるとそれすら区別が付かなくなるから困る。今回は後半のパート2。とりあえず持っているビートルは全て検証する。パート2ではセダンとカブリオの二種を出すパターンが連続するが、そこにもまた問題が潜んでいた。

1976年式1200LSE - Tomica
Tomica
 トミカのビートルは箱に1200LSEと書かれており、とても珍しいモデル。76年モデルイヤーの後半、76年の1月から7月に(少なくとも日本では)存在したのがLSE。75年を最後に1303がなくなったことでビートルは1200のみになり、77年から1200LSが1200LEになったが、LSEという中間のモデルが存在したらしい。76年からは1200でも三日月型の通気口が付いたが、リアフードにはスリットは入らないままだった。しかし日本仕様ではオプションの1600エンジンが標準となり、リアフードには4列のスリットが入るはず。トミカでは前後フードのスリットは省略されているが、外車シリーズでもビートルはお粗末な出来ではなかろうか。Lというのはパート1でも書いたが豪華版のことで、Sは1600エンジンが載っていることを意味している。Eが付くのは基本的にインジェクション車(それまではキャブレター)で、触媒がついたのでマフラーはそれまでの二本から一本出しになった。トミカでもシャーシを見ると、マフラーは一本になっている。インジェクション車には1600エンジンしかないので、77年からLEに名前が変わった。

1975〜1980年式1303S Cabriolet - Tomica
Tomica
 トミカのビートル・カブリオはセダンのシャーシを流用している。シャーシにはただフォルクスワーゲンとだけ書かれているが、この車の元々の名前はビートルでもタイプ1でもなく、フォルクスワーゲンだったことを考えれば別に間違っていない。トミカは単なるセダンのオープン版ではなく、車種は1303になった。そのためフロントフードがセダン版と異なっている。セダンと同様にフロントフェンダーの後ろに小さい窪みがあるが、これはヤナセ(日本でのディーラー)が付けていたちょうちん型のウィンカーを表している。ただシャーシ共通なためにマフラーが一本出しになっているのはトミーのミス。リアフードにスリットがないのもおかしい。違和感は少ないが、フロントの窓の前のスリットも省略されている。箱には1303Sと書いてあるのでそういうことにする。

1973〜74年式 - Tomica
Tomica
 これはパワートミカだが、それまでのトミカダッシュと基本的に同じ金型。モーターもフリクションではなく、プルバックになっている。パッと見た感じ、プレスバンパーにビックテールの高年式。ウィンカーがバンパー内にあるようにも見えるけど、フェンダー上に確かにウィンカーがあるので73〜74のモデル。71年にストラットの1302が出てからトーションバーは1300と1200の2種類となる。1300では73年からビッグテールが付くが、1200では74年からだった。更に74年で1200もようやくシングルバンパーからプレスバンパーに進化した。73年の1300、または74年の1300、1200であるとしてもいいが、1200なら三日月型通気口とリアフードのスリットがないのが説明できる(それでも三日月型の跡はあるはずだが)。ただ、変な突起があるリアフードにどれだけの忠実さを求められるのかが微妙な所。三日月が省略されるのはシクでもあった。関係あるか分からないが、トミカはレギュラーラインでもダンディでも1200をモデル化している(1200なのはモデル名だけで実際は1600だけど)。

1975年式1303(S) - Tomica
Tomica
 こちらがパワートミカ用の新規金型。はっきりとちょうちん型マーカーが確認できる。こうなると年式特定も簡単で、75年の1303に決まり。が、しかしちょっと困ったことに、シャーシには1303Sと書いてあるのに、リアフードにはVW1303という文字がモールドされている。本当ならシャーシに書いてある車名よりもボディの情報で判断したい所だが、Sが抜けただけで車名を否定するのも気が引ける。ところでこのビートルストライプは日本では馴染み深いステッカーで、特に高年式車によく似合う(という恐らく刷り込み)。70年代にオプションであったらしいが、日本以外ではあまり見かけない?という話を聞いた。パターン自体は限定モデルのジーンズビートルで「jeans」という文字と共に使われているので一応世界的だが、「beetle」ではどうだろうか。確かにこの特集でもビートルストライプを付けているのは両方とも日本のトミカだが。

1973〜78年式 - Unknown
Unknown
 円の中にMADE IN CHINAと書かれていることから通称サークルチャイナ・マル中と呼んでいるメーカー不明品。家で見つけるまで存在を忘れていた。トミカのコピーらしいが、こちらには親切な車名表示はない。トミカと同じということなのでビッグテールということにして、73〜78年までと幅広く解釈する。揚げ足を取って解釈するなら、三日月とリアフードのスリットがないことから74〜75年の1200であるとする。

1975〜80年式1303(S) Cabriolet - Welly
Welly
 トミカのコピーに関してはかなり忠実なウェリーで、これもサイドマーカーまで完璧にトミカを再現している。ということでこれはトミカ版と同じ年式であると言える。一方でウェリーはトミカ版ゴルフ1をゴルフ2に変身させていたりもする。

1972年式1302 - Majorette
Majorette
 かなり古い金型ながら、まだスーパーに並んでいるマジョレットの1302。実車が新発売の頃に出たもので、ストラット・ビートルの3インチミニカーで第一号かもしれない。モールやワーゲンマークまで全てモールドで表現していて、年式特定に優しいディテールを持っている。でも1302はリアフードのスリットですぐに71と72を区別できる。スリットが2列なら71で、4列なら72だ。

1953〜57年式 - Hot Wheels
Hot Wheels
 かなりコンパクトなミニカーで、アメリカでのビートルの小ささが表れている。アメリカではビートルのことをバグと呼んでおり、カブトムシではなくテントウムシのイメージが強い。水玉模様のビートルのミニカーなどはそのイメージから作られるのだろう。1988年の金型で、時代を反映してモールレスのキャルルックなビートル。横の窓がワンピースじゃないのがHWだと意外だ。後ろの窓がオーバルなのは53から57まで。56年でマフラーが一本から二本になるが、HWはマフラーが改造されているようなので参考にならない。さらに56年にはアメリカ仕様でバンパーがシングルからダブルになった。が、ヨーロッパではシングルのままなので、これをどう判断するかが微妙なところ。とりあえず幅広く53〜57までとする。

1953〜57年式Cabriolet - Hot Wheels
Hot Wheels
 最近クラシック・シリーズで登場したオープン版。セダン版の金型から作られているが、折り畳んだ幌のボリュームが少なすぎる。この塗り分け方はカブリオに実際にあったもの(こんな色はなかった)だが、80年代から90年代に流行ったカラーリングのノリのような気がする。屋根が切り取られたことで、スプリット・カブリオの可能性が出てきた。この場合ダッシュボードで判別できるが、オープン化でダッシュボードの形状が多少作られているもののかなり微妙な形なのでどちらとも言えず。ちなみにスプリット・ダッシュやオーバル・ダッシュという呼び方はするが、ダッシュボードの形状変更は窓のオーバル化よりも何ヶ月か早くスプリットの時代に行われていた(52モデルの途中から新ダッシュボードに)。ここでリアフードのハンドルに注目する。HWはハンドルが水平を向いているようだが、これはオーバルになってからの変更と思われる。スプリットではL字型ハンドルが縦に付いていた。というわけでオーバル時代のカブリオであるとして年式はセダン版と同じである。どの年式でもカブリオにはリアフードにスリットが入るはずだが、マテルは忘れていたようだ。

1967年式 - Hongwell
Hongwell
 最初の頃のホンウェルの金型。ビンテージな雰囲気がぷんぷん出ているが、これは67。ヨーロッパ仕様の6V67である。シングルバンパーなのがヨーロッパの雰囲気を醸し出している。しかもピラーが太くて67よりも古い年式のような印象を受ける。リアウィンドウ下のルーバーにはトリムパーツが付けられているようだ。リアバンパーのオーバーライダーの横に付いている小さな突起は後付けのバックランプか何かだと思われる。サイドステップがシルバーに塗られているが、67までの年式ではボディ色に合わせてサイドステップのラバー部分の色もコーディネートされていた。68からは全て黒になる。ホーングリル部分がウィンカーのようにオレンジに塗られているが、これは間違い。

1967年式Cabriolet - Hongwell
Hongwell
 窓枠の形が丸まってるのが間抜けな感じだが、このメーカーの1/43はもっと間抜けな出来なのでこれはマシな方だ。実際の窓枠はもっと角のある形をしている。年式はセダン版と同じく67だが、おかしなことにカブリオにはないはずのルーバーがリアフード真上に付いている。そしてリアフードにあるはずのスリットはないようだ。HWと同じで単純に屋根を切ればカブリオになる訳じゃないというのが良く分かった。これはむしろセダンをカブリオに改造した車両と解釈した方が納得がいくかもしれない。

1972年式1302 - Hongwell
Hongwell
 67と入れ替わるように登場した新金型がこれ。デラックスバスも同じ頃新金型になったが、そちらは年式が古くなった。1/72にしては67が大きすぎたのか、1302は一回り小振りになった。モデル考証がまともになり、ホイールキャップがメッキになった。ホイールがシルバーなのも正しい。リアのエンブレムが読み取れないが、Sの文字はなさそうなので普通の1302とする。リアフードのスリットから72であるといえる。サイドステップは黒のはずだが相変わらずシルバーのまま。ステップの横にはメッキモールが付くためシルバーの要素が全くないわけではないが、若干違和感がある。三日月型通気口の表現もいまいちだが、スリット部分を丸ごと窪ませて線をプリントしているようなやり方なので仕方がない。シートのヘッドレストがないのはヨーロッパ仕様だろうか。

1971年式1302 Cabriolet - Hongwell
Hongwell
 セダン版のカブリオでモデルは同じ。三角窓も付いて67の時よりも窓枠の形は良くなった。しかし今度は窓枠がボディ色ではなくなってしまった。ビンテージな形のハンドルはセダン版と同じだが、このタイプは71年までのハンドルである。72年では4スポーク型になっている。セダン版ではリアフードの特徴から72と判断せざるを得ないが、カブリオでは71年でも72年と同様のリアフードを持っている。よってハンドルからこれは71年であると言える。

1967年式 - Dickie Simba
Dickie
 タイヤが回って一応ミニカーだが、プラスチック製でキーライトになっている。マグネット版もある。これ自体が元々ハービー用に作られたビートルなのかは不明だが、ハービー仕様しか確認していない。2005年の5作目公開のときに劇場で配られた。ハービーの年式設定は63年だが、それで納得しては思考停止もいいところ。映画の裏では色々な年式のビートルを63年仕様にする努力が行われていた(63だけ集めるのが困難なため)。結論を言えば、リアフードの形から67と分かる。12Vか6Vかはよく分からないが、ヘッドライトにアイブローが付いているようだ。ちなみにハービーの5作目では、ラグトップ部分にも続いていたストライプが消えた。ディッキーはラグトップ部分は塗り。もしハービー仕様のミニカーを作りたければ、マッチボックスのラグトップ版62ビートルをベースにすればいい。

Diecast Beetles
 パート1とパート2で取り上げたミニカーのサイズ比較。1/72の右上3台はさすがに小さめ。これ以外にも3インチのビートルはまだまだたくさんある。

 以上30台ほどのビートルの検証は父と兄の協力の下行われた。こうして見ると一部の年式にミニカーが集中しているのが分かる。もっと色んなビートルをミニカーにして欲しい。この特集はシリーズとしてパート3以降も続く予定。ただし新たなビートルが集まってきたらの話である。以下に今後取り上げたいミニカーのリストを載せておく。356と違って昔からミニカーが作られており、入手困難なものも多い。これ以外にもまだあるかもしれない。

Siku - もっと古い年式のビートルが出ているはず。
Welly - 新しい金型でカブリオが出てる。入手済み。
Maisto - G-RIDESでセダンとカブリオが出ているよう。
Matchbox - 62ビートルを。もう結論出てるけど。それとレギュラーホイール時代にもビートルがある。
Johnny Lightning - ビートルで複数の金型が出ている。
Hot Wheels - コレクティブルでビートルが出てる。
Jada Toys - ダブシティでビートルがあったっぽい。
Revell - 1/64系。
Schuco - 1/66。
Husky - コーギーと同じ?
Corgi - ヤトミンの元ネタ?複数のビートルがある。
Darda - デフォルメ系に近いものがある。
Playart - そういえばビートルストライプのバージョンがあったような。
Lintoy - ボンネットが開くやつ。
Aguti - アルゼンチンのミニカー。
Polistil - あまり見たことない。
Muky - あんまり聞いたことない。
Midge Toy - かなり原始的なミニカー
Yot - 台湾のミニカー。
Morstone - オーバル。Budgieになった頃の物もあり。

 また、バハバグを初めとして改造車系を取り上げることも考慮している。マイストやジェイダもカスタム系だが、ここではもっと大きな改造をされたビートルのミニカーをリスト化する。リアル系おもちゃ系は問わない。

Maisto - 寄り目のバハバグあり。既所有。
Hot Wheels - スプリットのバハバグあり。既所有。レッドラインで2種類カスタムビートルがある。それとキャラウィールのマグナビートル。
Johnny Lightning - HWに影響されたカスタムカー。復刻版を既所有。
Matchbox - ドラッグやホットロッド系がある。ホットロッド系は既所有。最近オフロードも出た。
Corgi - ホットロッド。
Zylmex - 変なカブリオ。

 ワーゲンのミニカーは結構競争率が高いので、物凄いプレミアが付いてるのもあったりする。アメリカン・カスタム系ミニカーだと空冷VWはすぐに店から消えることが多い。そんなカスタム系ミニカーでこんなのが出たらしい。
Jada Toys 2 seater cabriolet
 ジェイダのダブシティから出ているワーゲンの一つ。車高が下げられてホイールが大径になっているが、貴重なヘップミューラー製2シーターカブリオをモデル化している。おそらくこのサイズで最初のリリースではなかろうか。実車はかつて日本で幻の存在と言われたレア車だが、ミニカーの世界ではこれで多少メジャーになるだろう。

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